2008年 11月 09日
写真展 湊雅博 「環 fusion」
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 この写真展は、いろいろな意味で見る側の資質こそが問われるものだ。
 
 モノを見る行為というのは、視覚というのものに意識的でない限りは、常
 に自己の経験と摺り合わせをして何某かの理解と云う意味の世界に帰着し
 てしまうのを常態とするだろう。
 これはモノと「私」との距離感に関わってくることなのだが、この写真展
 の作者はその距離感を自在に操り、鑑賞する側に「写真」という形でその
 距離感を提示する。半ば強制的に、意味の世界から突き放されたあなたの
 視覚は作者が仕掛けた見ることの快楽の狭間をさ迷うだろう。
 その果てに、何を考え何を感じるのか、見ると云う行為の資質が問われる
 のだろう。

 ここで見られる写真は、非常に狭い狭間に成立するような際どいもので、
 写されているものとの微妙な距離感の取り方、細心に配慮されたその展示
 構成、無限の広がりを持つグレートーンのどこをもって良しとするのかの
 プリントの匙加減、そのどれ一つを欠いてもありふれたものになってしまう。
 まさに老練の技術をもって細い綱を渡って行くような写真で、その際の静
 謐な緊張感を強く感じさせた。

 ここには、写真で何がしたいかではなく、写真で何が出来るのかを表した
 ひとつの局があるように思う。
 写真を見ることで終わるのではなく、見て考えることではじまりになるよ
 うな写真展です。
 是非一見をおすすめします。
 作者かギャラリーのオーナーがいれば、きっと示唆に富んだお話を聞ける
 はずです。

 @ アップフィールドギャラリー
 http://www.upfield-gallery.jp/

by namasutee | 2008-11-09 21:26


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